委員会活動

ATS委員会
 ATS委員会は航空交通業務(ATS)に関する事項を担当する専門委員会で、
主な活動は R/TミーティングおよびATSシンポジゥムの実施、航空局管制課との定例会議、
そしてAIM-Jの編集活動への全面的な協力です。
これらの活動を通じて、ATSに関する研究・啓蒙活動を行っています。
┠> R/Tミーティング
 今から20年以上も前の1976年に、我々の先輩方は管制協会の方々と定期的なミーティングを始めました。このミーティングはATS合同会議と呼ばれ、そこでは管制一般の諸問題が話し合われておりました。そうした折りの1977年3月27日に、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ空港で、低視程下の滑走路上でKLM航空とパン・アメリカン航空のジャンボ機同士が衝突し、583名の死者を出す史上空前の大惨事が発生しました。

 この事故の背景には管制用語の問題があったことがクローズアップされ、管制用語の見直しと研究を行うことが急務であることから、ATS合同会議の下に分科会を設けることになりました。この分科会がレディオ・テレフォニー・ワーキング・グループで、これには同種の研究を進めていたALPA-J( 日本定期航空操縦士会)も加わることになりました。この集まりはR/Tミーティングと呼ばれ、第一回会合が1977年12月18日に行われました。以来毎月第2土曜日に開催され現在に至っています。

 R/Tミーティングはその後、ICAOのRTFマニュアルの原案作成に参加した他、管制用語の研究のみに留まらず、日常の運航におけるATCに関係した問題を拾い上げて検討を行い、管制方式および管制一般の問題にも研究の範囲を広げるようになりました。そして現在のR/Tミーティングは、現場の第一線で働くパイロットと管制官が共通の認識を深めるために率直な意見交換をする場となり、純粋に技術的な観点で「安全で効率のよい運航」を支える航空管制の在り方を検討する会議となっています。

 1987年6月からは自衛隊のパイロットや管制官も参加しはじめました。全国各地の空港事務所や管制部の管制官をはじめ 各分野のパイロットが集まるこの会議は 毎回40名を超える参加者があり、開催回数は今年の6月で通算255回に達しました。
┠> ATSシンポジゥム
 当初R/Tミーティングは実質的に東京近郊在住者だけによる研究会でした、そこで、R/Tでの討議を全国の管制官を交えて行い、ATSの原点である「パイロットと管制官の共通の理解」をより一層深めたいとの願いから、操縦士協会、管制協会、ALPA-J 三者の共同主催でATSシンポジゥムを開くことになりました。
 第1回ATSシンポジゥムは1979年10月27日に航空会館の大講堂で開催されました。以来20年間 ATSシンポジゥムは「安全で効率のよい運航と航空管制」を一貫したテーマとして 毎年10月に開催されています。1992年からは 講演の講師として第一線でご活躍中の航空局幹部の方々をお迎えし、ホットな情報や率直なご意見を披露して頂いています。最近は毎回160名を超える参加者があり操縦士協会の主要な年間行事の一つになっています。
┠> 航空管制定期連絡会議
 ATS委員会は、航空局管制課および空域調整整備室との連絡会議を年4回定期的に開催して、管制に関する運航の現場と行政とのパイプ役を果たしています。R/Tミーティングで採りあげられた運航現場での問題点や検討内容を当局にお伝えして 行政に反映して頂く一方、行政の考え方や方針の情報を現場に伝えて啓蒙に役立てています。ATSシンポジゥムの開催についても緊密に連絡をとりあって、全面的なご協力をいただいており、将来は航空局が主催するATSシンポジゥムを目指しています。
┠> AIM-Japan
 AIM-Japanの出版は操縦士協会が事業として取り組み、航空局の監修を受けて1984年12月20日に第1号が発行されました。 以来ATS委員会はAIM-J編集会議に参画してR/Tミーティングの成果をAIM-Jに反映させています。

 AIM-Jが創刊10周年を迎えた1995年の前期版では、それまでの実績を踏まえて 土坂航空局長(当時)から新たな序文を頂き、その中で「(AIM-Jは) 運航の多岐にわたる諸規定を整理して必要な情報と方式を網羅し、かつルールベースではカバーしきれない部分については判断と手順の規範となるようなマニュアルとして編纂されたものであります」とAIM-Jの位置付けを明解に示して頂きました。
 さらに1995年後期版からは第8章(航空気象)が気象庁の監修となりました。AIM-Jは毎回11,000部 が出版されています。

 AIM-Jはパイロットにとって必要な基本情報とともに、パイロットと管制官が共通の認識を持つための 規範をまとめたものであり、運航関係者から厚い信頼を得ています。
 AIM-Jは航空局の監修のもとにNPO法人AIM−Japan編纂協会が編集を担当し、当協会がこれを出版して 普及するという役割を担っており、日本の空を共有する外人パイロットのためにAIM-J英語版も発行しています。

社団法人 日本航空機操縦士協会  ATS委員会
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